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HIIT(高強度インターバル運動)について

HIIT(高強度インターバル運動)について

PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー 岩田勇樹 |

HIITとはHigh-Intensity interval training(高強度インターバル運動)を指し、簡単に説明すると高強度の運動と低強度運動(又は、完全休息(※1))を挟んで繰り返し実施するトレーニング方法です。(通称ヒットまたはヒートと呼ばれることもあります。)

(※1)完全休息の場合High-Intensity intermittent training(高強度インターミッテント運動)

 

HIITの最大のメリットは、短時間で終わり運動効果が期待できるという点です。短時間といっても安全にかつ、最大限に効果を得るためには10~15分程度のウォーミングアップを行ってから実施すると良いでしょう。

ここ数年でHIITという言葉を様々なステージで耳に目にするようになりましたが、HIITをわかりやすく大きく分けると以下の2種類に分けることができます。

1つは体力レベルが高く、競技を戦う上で最大酸素摂取量(※2)や最大酸素借(※3)を高める必要がある人達向けのHIIT(プロアスリートなど)。もう1つは、Health Fitnessとして書籍化もされている普段運動をしていない方や、運動愛好者の方々に向けたHIITです。

 

➀体力レベルの高い人向けのHIIT(プロアスリートなど)

・オールアウト(全力、疲労困憊まで力を出しきる状態)の負荷をかけるもの

・代表的な例として「タバタトレーニング(※2)」

【20秒トレーニングと10秒休息】6~7回で疲労困憊になる負荷をかける
主な目的は最大酸素摂取量の向上と最大酸素借の向上を目的としている(脂肪燃焼や生活習慣病の予防が目的ではない)

(※2)タバタトレーニングはintermittent training(間欠的、完全休息)

※アスリートであれば、競技の特性に合わせてトレーニング時間や種目は専門のトレーナーが最適なメニューを考えることになるでしょう。

 

②普段から運動をしていない人や、運動を楽しみたい人向けのHIIT

・オールアウトの手前の「ややキツイ」最大心拍数の7~8割の負荷をかけるもの

・安全かつ継続できることを目的としている。

・体力の向上やダイエット効果、生活習慣病の予防や改善を期待している

・プログラムの構成にこれといった決まりはないが「TABATA PROTOCOL」をベースに構成されているものが多い

 

【20秒間のエクササイズ+10秒休息or軽い運動】を4~8回繰り返す。
それを1~3セット行うことで高い効果を得られる。            …など

 

以上のように、➀アスリートのパフォーマンスの向上を目的としたHIITと、②一般の方が運動を継続して取り組むことができるように、わかりやすく一般書籍化されたHIITがあることがわかります。

HIITの歴史を振り返ると、HIITの科学的なメカニズムが本格的に解明されていくのは立命館大学の田畑泉教授とその研究チームが1996年に発表した論文がベースとなった

「タバタトレーニング」が「TABATA PROTOCOL」として海外で爆発的に知名度を上げ、注目を浴びたことがきっかけだったようです。次第に、世界的な医師たちからも支持を受け、高強度運動トレーニングはアメリカスポーツ医学会(ACSM)が2014年度、最も流行するFITNESSとしても取り上げており、今後さらに世界で流行すると考えられています。

 

 

■HIITを行うことで得られる効果

HIITを行うことで得られる最大の効果は、有酸素性エネルギー供給機構(最大酸素摂取量(※2))と、無酸素性エネルギー供給機構(最大酸素借(※3))、2つのエネルギー供給系をどちらもいっぺんに鍛えることができるという点です。

(※2)1分間あたりに摂取可能な酸素の最大値 = 「持久力」

(※3)ヒトが運動を開始するとまず無酸素性機構によるエネルギーの共有が始まります。無酸素運動(※4)のときには酸素を必要としていないのではなく、必要な酸素を運動後に調達します。このことを酸素負債と呼び、「借金」して賄うというシステムであり、「借金」の部分が「酸素借」です。そして、この酸素借の最大値「最大酸素借」が無酸素性エネルギー機構の供給するエネルギーの最大値です。

(※4)無酸素運動 = 「運動の立ち上がりパワー」
単純に無酸素運動 = 筋力トレーニングとは安易に結びつけられません。

 

■ダイエットや生活習慣病の予防や改善の為に取り組むHIIT(一般の方向け)

HIITの最大のメリットは、繰り返すようですが短時間で運動を行うことができるということです。忙しくてなかなかジムに通うことができない、運動をする時間が取れないという方にも短時間で複数の運動の効果を得られるトレーニング方法ともいうことができます。

まずウォーミングアップを10~15分間行ってから、4~30分間のHIITに取り組むと良いでしょう。

➀【20秒間エクササイズ&10秒間休憩×8回】計4分間×1~3セット

②【15秒間エクササイズ&15秒間休憩×4回】計2分間×1~3セット

③【10秒間エクササイズ&20秒間休憩×8回】計4分間×1~3セット

④【20秒間エクササイズ&10秒間休憩×6回】計3分間×1~3セット     …など

 

■HIITエクササイズのポイント(一般の方向け)

➀大筋群を扱う種目(スクワット、プッシュアップ、バックエクステンション…など)

②全身を使う種目(バービージャンプ、その場ランニング…など)

③心拍数を上げやすい種目(ダッシュや固定式自転車…など)

④「ややキツイ」と感じる程度の負荷をかけましょう

⑤連続3セットできない場合は、朝・昼・夜など、時間を分けて取り組むのも良いでしょう

⑥はじめは週2から、徐々に慣れてきたら週3~4を目指しましょう

⑦食事のバランスを整えることで、ダイエット効果もアップ!

このように決まったやり方はありませんが、ある研究では2週間という短い期間の取り組みでは運動効果を実感すること難しいという結果であったため、継続できる方法で少しずつ強度を上げていくことが重要と言えます。

短時間集中し長期間の継続が可能なHIITの方法を見つけ取り入れるということは、運動習慣を身につけるうえで、強い味方となるとなるでしょう。

 

 

【引用文献・参考書籍】
Tabata I, K Nishimura, M Kouzaki, Y Hirai, F Ogita, M Miyachi, K Yamamoto. Effects of moderate intensity-endurance and high intensity-intermittent training on anaerobic capacity and VO 2 max. Med. Sci. Sports Exerc. 28: 1327-1330, 1996.

「4分間で身体は変えられる」の科学 著書 田畑泉
トレーニングとリカバリーの科学的基礎 第10章 執筆 藤田善也
HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング 著書 岡田隆
世界一効率がいい 最高の運動 著書 川田浩志